皆さんは、妖精と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?
漫画やアニメ、ディズニー映画などに、たびたび登場する妖精ですが、古くは、ギリシャ神話から登場しています。
人間のような容姿を持つ精霊で、不思議な力、魔力を持つとされる妖精たちは、地上や水中など、それぞれに生息する国を持ちます。
時に人間を助け、またあるときは人間に罰を与えるなどして人間と関わってきたとされ、非常にいたずら好きとの話もあります。
どちらかと言うと、妖精の存在を信じられているのは西洋とされていますが、例えば、日本の座敷童(ざしきわらし)なんかも、妖精の類いと言って良いのではないでしょうか。
座敷童に会うために、伝承されている土地の民宿に泊まるなんてことは、よく聞きますよね。
そうして考えると、日本人もまんざら信じていないわけではないのかもしれません。
あなたはどこまで知ってる?妖精の名前
ここからは、妖精の名前をご紹介していくことにしましょう。ここでは四大要素の精霊と言われる、水、空気、土、火を中心にご紹介していきたいと思います。
水の妖精 ウンディーネ(Undine)
ウンディーネは、人間と愛によって結ばれた妖精で、若く美しい女性の姿をしていると言われています。アレグザンダー・ポープの著「髪の毛盗み」だえは、主人公の守護精霊として登場しています。
ドイツの作家、フケーが書いた「ウンディーネ」では、ウンディーネの悲恋が描かれています。
若い騎士と出会い結ばれたことで、ウンディーネは魂を得ますが、それと同時に、人間の持つ苦悩や罰も受け入れることになります。
他の女性へと心変わりしてしまった騎士を殺し、自らも精霊の掟を破ったことで命を落とすことになります。
ウンディーネはその後、その騎士の墓を取り巻く美しい流れとなって、永遠に騎士を抱き続けたという話。
ところで、この話、どこかで聞いたことがありませんか?
そう、私たちが子供の頃に読んだ童話、「人魚姫」に似ていますよね。
フケーは、この人魚姫を参考にしたとも言われているので、言い方を変えれば、人魚姫もまた、水の妖精なのかもしれませんね。
その他の水の妖精
アフランク(Afrank)・・ウェールズに存在するとされる水の妖精。かぎ爪を持ち、槍を投げる太鼓の妖精。グリンディロー(Grindylow)・・子供達が危険な川に落ちないように、母親や乳母たちの思いによって作られた水の妖精。
ケフィル・ドゥール(Ceffyl-Dwr)・・ウェールズに伝わる水の精霊。普段は灰色の馬の姿をしているが、山羊やイケメン男子で現われることも。あまりいい印象のない妖精のよう。
コリガン(Corrigan)・・フランスのブルターニュやイギリスのコーンウォールの聖なる湧き水や泉の守護妖精。美しい乙女の姿から、身の毛もよだつ老婆の姿まで変身するそう。
ショーニー(Shony)・・ヘブリディーズ諸島の北端、ルイス島に存在する水の妖精。男の妖精とも海の女神とも言われる妖精。
タンギー(Tangie)・・オークニー諸島に存在する水の妖精。男性や馬の姿をしているとされ、子供を水面に引きずり込み溺れさせるとも。
トラッシュ(Trash)・・マン島やイギリスに存在する妖精。スクライカーという別名も持ち、死の前触れをもたらす危険な妖精。
ブラッグ(Brag)・・イングランド北部に存在する妖精。非常にいたら好きで、馬に変身し、背に乗せた人間を池に落としたりすることも。
長腕ネリー(Nelly Longarm)・・子供たちを危険な場所から遠ざけるため、また、行儀良くさせるために、母親や乳母たちによって作られた妖精。
空気の妖精 シルフ(Sylf)
シルフは、風の精霊や空気の精霊とも言われる、四大要素の精霊のひとり。古くから、貞節のある人は空気の妖精になれると言われています。
ウンディーネ同様、ポープの作品「髪の毛盗み」では、主人公に仕える乙女の姿の妖精として登場しています。
人間と妖精の中間と言われる存在で、力が強いものの、移り気な性格からあまり信頼できない妖精とも。
細くしなやかな若い女性として描かれることが多く、その姿は優雅さに溢れているそうです。
オカルトチックな観点になりますが、シルフは純粋のまま亡くなった男女の魂が変化したものとも言われています。
その他の空気の妖精
エアリエル(Ariel)・・語源はヘブライ語の「神のライオン」と言われている、大気の精。シェイクスピアは、「テンペスト」の中で、優美な翼で自在に動き回るいたずら好きの妖精として描いています。土の妖精 ノーム(Gnome)
ノームは、グノームとも呼ばれる四大要素の精霊のひとりで、土を司っています。寿命は400歳を超えるとされ、その見た目も、ひげを生やしたこびとのおじいさんと言われています。
ギリシャに伝わるグリュプス、ゲルマンに伝わるドラゴンと同じく、秘宝を守るものとして描かれており、鍛冶が得意とされています。
ポープの「髪の毛盗み」では、真面目ぶって淑女ぶりたがる女は、死後、醜い女の姿をしたノームへ落ちると罰のような言われ方をされる始末。
どうやら、お世辞にも容姿端麗とは言えないようです。
火の妖精 サラマンダー(Salamandra)
サラマンダーもまた、四大要素の精霊のひとりで火を司っています。燃えたぎる炎の中や溶岩など、地球内部の火の中に存在していると言われています。
レオナルド・ダ・ヴィンチは、「サラマンダーは火を食べ、それによって皮を再生する」と述べており、火によって成り立っている様がうかがえます。
火の妖精らしく、表現される際は情熱を帯びた女性が多いのが特徴。
アナトール・フランスの著「鳥料理レエヌ・ペドオク亭」では、「火や空中に棲む美しい女性」として描いています。
ポープの「髪の毛盗み」では、情熱的な女性は死後、火の妖精であるサラマンダーになると言われています。
ウォルター・ド・ラ・メアは、真っ白な雪上を、赤い火の髪をなびかせ走るサラマンダーの姿を謳っており、さらに情熱を感じさせる表現になっています。
その他の火の妖精
ペリ(peri)イランの高原地帯に存在する火の妖精。
人間の姿をしているものの、背中には翼が生えており、魔法を使うことができます。
ペリは男女とも容姿端麗で、男のペリは威厳に満ちあふれ、女のペリは息もつかせぬほどの美しさを持っているのだとか。
そのためか、人間と恋に落ちることもしばしばあり、逸話も少なくはないようです。
四大要素の精霊以外の妖精の名前
妖精は、四大精霊の他にも、まだまだたくさん存在します。先程の妖精の名前には馴染みがなくても、ここからは聞いたことのある名前が登場するかもしれませんよ。
アスレイ(Asrai)
アスレイは海の妖精の一種で、1世紀に1度だけ現われ、月夜の晩に育つと言います。見た目は子供くらいの大きさでも、何百歳にもなっており、太陽の光を浴びてしまうと溶けるとされています。
セルキー(Selkie)
セルキーは、スコットランドに存在するアザラシ族の妖精。海底の乾いた場所や岩礁に存在するといわれ、たびたび人間の姿に変身しているそう。
男のセルキーは人間の女性を口説き、女のセルキーは生活に満足しているので人間を口説くことはないようです。
なお、セルキーと人間の間に生まれた子は、足に水掻きがついているとされ、毛皮を脱いだ状態では、空気中に長い時間はいられないとも。
海にセルキーの血が流れると嵐が起きるとされていて、海難事故が起きると信じられていました。
ナックラヴィー(Nuckelavee)
スコットランドの海に存在する水の妖精の一種。ケンタウロスのように、下半身は四本足の馬の姿で上半身は人間の姿をしています。
赤い目に吐く息は毒の息と、とても恐ろしい妖精で、決して可愛らしいイメージはありません。
ただし、淡水には弱く、流れる川も渡れないため、その点を利用すれば逃げられることもあるのだとか。
フーア(Fuath)
スコットランドの高地に存在する水の妖精で、悪意のある種類と言われています。水掻きのついた足を持ち、髪は黄色。
尾とたてがみがあり、光に当たると死んでしまうとのこと。
マーメイド(Mermaid)
海に住む半魚人で、腰から上が美しい乙女の姿をしており、甘い歌声で、人を水中に引き込み溺れさせます。万が一、人間に捕まってしまった場合は、解放されるのと引き換えに願いごとを叶えてあげたり、薬草の作り方などの知恵を授けるのだそうです。
人魚が姿を現すときは嵐が起きる前触れとされていて、海に出る漁師たちは細心の注意を払ったと言います。
メロー(Merrow)
海の妖精で、女のメローはマーメイドのように美しいと言われていますが、残念ながら、男のメローは醜いそうです。マーメイドよりも心が優しく、人間と恋に落ちることも少なくないそうで、陸に上がる際はかわいらしい小さな牛の姿になるよう。
赤い羽根のついた帽子をかぶって海中を移動しますが、その帽子がないと海の中に入れず、帰れなくなってしまいます。
ロン(Ron)
スコットランドの高地に存在するアザラシ族の妖精。温厚な性格で家族愛の強い妖精で、気立てが良いのが特徴。
スコットランド最北端の岬に住む漁師の男とロンの話はよく知られており、ロンの慈悲深さを感じさせる逸話となっています。
ブラウニー(Brownie)
日本でいう、座敷童のような存在の妖精。イングランド諸島に存在し、他の妖精に比べて親切なのが特徴。
働き者で、夜な夜な家事をこなしてくれますが、働いている姿は見られたくないので、見られた途端、現われなくなるそう。
なお、働いてくれているブラウニーのために、お礼は必要になるようで、コップ一杯の上質なミルクとお菓子、ハチミツなどでいいそうです。
それ以上のものをお礼に出してしまうと、働かなくなってしまうのだとか。
また、ブラウニーは自分に対して敬意を表さない者は大嫌いで、それが分かると、人に悪さをする妖精へと変貌してしまうそうなのでご注意を。
ゴブリン(Goblin)
意地悪な妖精として有名なゴブリンは、森や洞窟に住み、小鬼と表現されることがあります。悪い子供をさらうと信じられており、昔の母親たちは子供を寝かしつける際に、ゴブリンの名前を出したと言います。
なお、意地悪は意地悪ですが邪悪とまではいかなかったようで、さまざまな著作に登場する際も、悪さをする程度にしか描かれていません。
エルフ(Elf)
妖精の中でも小さく、森や泉、野に住むと言われています。知力に優れ、その能力の高さは人間を遙かに超えると言われますが、同時に狡猾さもあることから、少し厄介な存在とも。
ただし、巨人と違って人間に危害を加えるといったことは少なく、人助けをしてくれることもあるようです。
オーガ(Ogre)
凶暴で残忍な性格の妖精で、人を食べるとされています。ただし、知能は低く、まったく太刀打ちできないわけではなさそう。
自由に姿を変えることができ、何食わぬ顔をして人に近づいてくるのが特徴です。
グレムリン(Gremlin)
機械にいたずらをする妖精で、ゴブリンの遠い親戚にあたるとされています。家庭内ではミシンや自動車に止まっていますが、一歩外に出ると、飛行機などもいたずらの対象になり、パイロット達を困らせたようです。
グレムリンのいたずらを阻止すべく、あめ玉などで気を取ることを考えた名残が、今でも飛行機に搭乗する際にあめを貰うことに繋がっているそうです。
ホビット(Hobbit)
平和を愛し、農耕を好んだ妖精。視力が良く、弓矢の扱いが上手だとされています。
食べることも好むホビットの体型は太っていることが多く、贈り物をされるのも嬉しいそう。
トロル(Troll)
ノルウェーの伝統的な妖精。地域によってトロルの扱いにはバラツキがあり、人食い巨人といったイメージがあるところも。
小柄な老人や赤毛の美人と例えられることもあることから、魔法が使えて自由に容姿を変えられるとされています。
なお、しばしばムーミン=トロルとされていますが、ムーミンの作者である、トーベ・ヤンソンは否定をしています。
ピクシー(Pixie)
イングランド南西部に伝わる妖精。怠け者が大嫌いで、見つけると懲らしめるとされています。
暗闇でも光る目を持ち、青白い顔に尖った耳、見た目は意地悪そうに見えますが、貧しい人のために働く心優しい一面を持った妖精です。
ブラウニーと同じくお礼は必要なようで、ボール一杯のクリームとリンゴ一個をごちそうになったとも言われています。
まとめ
今回は、妖精の名前セレクション30としてご紹介してきました。妖精の名前もさることながら、その性質も初耳であることが多かったのではないでしょうか。
ハンドルネームに使うもよし、ゲームなどのキャラクターに使うもよし。
ぜひ、イメージに合った妖精の名前の参考にしてみて下さいね。